道具たち:こだし(第二回)

 「コダシ」と言われて、なんとなく東成瀬で一般的な感じがこれビニール紐で作られた「コダシ」。これは背負う用なので、「ナガタデ」、「タテコダシ」という感じのもの。この素材が出てくる前には、葡萄蔓という話も聞きますが、いろいろあったのかもしれません。ビニール紐の「コダシ」については第3回目のネタとして、今日は、他の地域の素材に注目してみたいと思います。
 

 「編袋」と整理されるものと、「籠」とされるものとは少し違うのかもしれませんが、あれこれ探してみて、興味深いところから紹介したいと思います。(これが研究論文ではないご気楽なところ)
<北海道>
 北海道のアイヌ民族では、こうした編袋を「サラニップ」と呼ぶそうですが、一部の地域では「コダシ」とも呼ぶとのことです。この点についても、下の資料は言及しているのですが、それよりもなによりも、いくつか写真が掲載されているので、関心のある人は是非眺めてみてください。私にはこれは「○○編みだ」などと語る能力はないのですが。
 「左肩にかけた編袋に入れ、・・・編袋がいっぱいになると大型のポロサラニップに移し替えて・・・」(P26)、この感じもいかにも「コダシ」の使い方に似ている。
アイヌ民族の編袋―地域差と年代差、及び「土産物」・「伝統工芸品」としての継承―(2019)北海道博物館アイヌ民族文化研究センター研究紀要 第4号 2019年

<青森>
 青森旅行をしていたときに、弘前で何気なく入った古本屋さんで見つけた「季刊稽古館Vol.12(1995.3)」。「青森の民俗・民具博物館稽古館」は既に閉館になってしまっているのですが、この号の特集が「民具からみる三内丸山文化」。この中で、籠の組みと編みという記事があり、その中で、背負い籠とコダシの素材と編み方が、イラスト入りで解説してあります!ちなみに、ここは別に縄文時代のものではありません。(撮影して、アップするわけにもいかないので、関心のある人には貸します)この編み方はちょっと教わったな・・・なんていうのもあります。
 この他、青森のコダシで調べると、白神山地の目屋マタギの画像などが出てくるのですが、東成瀬村と同じようなコダシを使っているみたいです。(例えばこんな感じ「目屋マタギのザックと土嚢袋
 
<岩手> 
 洋野町で布海苔(ふのり)採りに使われている「コダシ」の画像。身体に沿うように、かつ、入れやすいように上に枠が付いている感じ。これは今も作っているのだろうな。
 この他、岩手で山菜等の収穫に使われるというのは「ツボケ」と呼ばれる竹籠のよう。こちらはスズタケという笹で作られているようです。鳥越とか竹細工の産地として有名です。例えばこんなのツボケ
しかし、使っている感じの映像は見つかりません。沢内とか、この周辺はあらためて調べに行ってみようと思います。
 
<山形>
 山形は情報が多そうで、今回はパスなのですが、飯豊の方の画像でこんなのがありました。「なんか・・・本格派の背負篭(ショイゴ)と腰篭(ハケゴ)」 こちらのハケゴはどうやらマタタビ細工のようです。

<福島>
 会津にもマタタビ細工がありますが、とりあえずそれは置いておいて、「スカリ」と呼ぶ編袋もあって、これはこちらはホンヒロロ(ミヤマカンスゲ)とウバヒロロ(オクノカンスゲ)というスゲの仲間で作るらしい。(奥会津編み組細工

 ちなみに埼玉県の秩父の方でも「スカリ」と呼んでいるようで、スカリを作る:千島 貴さんという作り方の紹介サイトがありました。これはイラストも入っていて、是非見てみてください。

文献、サイトなどコダシ関連情報はこち


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