「こだし」関連情報

こだし関連資料/インターネットで探した情報を中心に(深入りしすぎると出口がないので、この辺で)
この記事の掲載日時は意図的に古い日時を指定しています。

<東成瀬村>
東洋大学民俗研究会、昭和41年(1966)、秋田 東成瀬の民俗-秋田県雄勝郡東成瀬村
・「山へ持っていく袋には、ブドウやアケビのつるで編んだタテコダス(手倉)(大柳「タテゴナシ」)、むしろで編んだムシロコダシなどがある・・・また、荷物を背負うときは、背中あてをつける。」(P34)

<秋田県>
嶋田 忠 一、1993、館蔵資料にみる背負い運搬具の諸形態、 秋田県立博物館研究報告第18号、P1~11
・「一般にコダシと呼ばれる背負い用具があり、広く使用されてきた。館蔵資料のなかでも最も数多く収集されてきた。例示したように、腰に結びつけたり、背に負うなどして用いられる。・・・形態から区別してみると、ほぼ二種類になる。一つは、扁平で底の編みはあっても座りのないもので、ものを入れる口も袋のように広げながら用いるもの、もうひとつは、立体的で底部を幅広くとり、座りが良く、口縁部には縁編みが施され、常に開いているもの、である。(P3)
・縦長のものはスカリやタテゴダシと呼ばれ・・・
P7、P8に写真あり
斉藤 洋子、2019、素材と技術からみた編組品の産地の特色と地域性―秋田県内の事例を中心として―、秋田県立博物館研究報告第44号 P33〜52
・由利本荘市鳥海猿倉のアケビ蔓細工の白いコダシ(P39)
・アオツヅラフジを利用したコダシの作り方が紹介されている。(P42-43)

<北海道>
大坂 拓、2019、アイヌ民族の編袋―地域差と年代差、及び「土産物」・「伝統工芸品」としての継承―、北海道博物館アイヌ民族文化研究センター研究紀要 第4号
姫野 英夫、1965、サラニップについて、SARANIP No1、市立函館博物館館報

・アイヌ語では籠あるいは手提げ袋が「サラニップ」と呼ばれるとされているが、日高の沙流地方では「コダシ」という方言が用いられるとしている。
小川 正人、2001、私の歩み:黒川せつ、北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要 第7号
・平取出身のこの方の資料には、「畑さ行って、こんなコンダシ(コダシ:小物入れの籠)背負って。(P154 )」という記述がある。

<青森県>
櫻庭 俊美、1995、籠の組みと編み、季刊稽古館 Vol.12 特集 民具からみる三内丸山文化 P28-36
・この中に、コダシの素材と編みのイラストが掲載されている(但し、どこのコダシかは明記されていない)
農業の道具2、青森市のサイト
・コダシの写真あり
「コダシ(細縄を編んで作った袋)」、白神マタギ舎
・白神マタギの使う道具として、コダシが紹介されている
https://matagisha.sakura.ne.jp/sirakami-now.html(ページの下の方)
「目屋マタギのザックと土嚢袋」、狩猟メモというサイト
・コダシの写真あり。東成瀬村で見る物とほぼ同一と思われる。
中路正恒、2002、ダムに二度沈むマタギの村――青森県中津軽郡西目屋村砂子瀬/川原平――
Ver. 1.01iSince 25 May 2002 
・「同じく編んで作る道具にコダシと呼ぶものがあり、それは山菜とりに行くときに背負い、弁当を入れたり、採った山菜を入れたりするのに使うものだという。それはものを「小出しにする」のに使いやすいものだからその名で呼ばれるのだと言われているとのことである。材料は藁であったり、マンダであったり、ブドウ蔓であったりする。この同じような道具を、飛騨地方ではテゴとかテンゴとか呼ぶが、この呼び名には関連はないように見える。(ただしテンゴが「手籠」の転化したものであるとすれば、多少似たような発想による命名があるのかもしれない。)わたしが多少驚いたのは、こちらではコダシが今でも実用品であり、店で販売されているとともに、材料としてビニール紐も用いられていることであった。」
小山隆秀、2019、来訪する神々-青森県内の事例報告、青森県立郷土館研究紀要 第43号、 101-120
・「大湯卓二 も、下北地方東通村の各集落で、小正月の年取りの晩である 1月 14日に来訪する鬼や魔物を防ぐために、コダシ等 の龍や網を家の戸口に掲げる習俗について、神以外にも災厄をもたらす悪神の来訪も意識してそれを選別する呪法だったのではないかとしている」(P106)」
熟し柿の仕事、いした物語、津軽地方の梅干し屋のサイトに、麻で編んだコダシを収穫に使うことが記されている

<岩手県>

一関市教育委員会、一関市民俗資料調査報告書、令和4年(2022)
・[籠] コダシ、コダス、ふご山仕事や山菜採り、栗拾い、キノコ採りに腰にさげる。アケビのつる、フジのつる、クゾフジ(葛)、桜の木の皮で作る。(P32) 白黒写真入りで6点紹介されている。
名久井 文明、2004、民俗的古式技法の存在とその意味 : 特に編組技法について、 国立歴史民俗博物館研究報告 117集 (P185~240)
・この中で、葛巻町のこだし(P204)、「こだす」はクリ,クルミ,茸を採集する際に腰に付けた籠で,シナノキの樹皮を組んで作っている。」(P207)図入りのこちらの「こだす」は岩手県の北上山地のどこかのものと思われる。同じく「こだす」。クリやクルミを採って入れる腰籠で,シナノキやウリハダカエデの樹皮で組んで作ったもの。底部から器体の半ば近くまでは四つ日に組み,それより上部は「二本飛び網代」に組んでいる(P215、216)
*同じ資料の中で青森県むつ市のこだしも紹介されている。
名久井 文明、1993、東日本における樹皮利用の文化 : 加工技術の体系、 国立歴史民俗博物館研究報告 18巻2号 (P221-301)
・この資料の中で、葛巻町、二戸市、石鳥谷町などの「こだし」が紹介されている。
岩手県洋野町の布海苔(ふのり)採りシーズン到来♪『コダシ』と呼ばれるカゴを腰に下げ
・海辺でコダシを使っている。コダシの写真も多数。身体に沿うように、かつ、入れやすいように上に枠が付いているように思われる。

*この他、岩手県では、山菜等の収穫に使われる「ツボケ」と呼ばれる竹籠がある。例えばこのようなツボケ 。同じようなタイプのもので、「かこべ」、「かっこべ」と呼ばれるものもある。秋田にも「かっこべ」はあるが、ここでは深入りはしない。

<山形県>
 山形では腰籠は基本的に「はけご」になるが、文献で整理されているものを見つけることはできてない。PPバンドを含め、基本的に固い素材のものが多そうです。「はけご」は基本的に腰に下げるもの、あるいは手に持つものしかネットでは出てこないようである。
・最近のPPバンドのものとして、たとえばこちら
・飯豊町の「なんか・・・本格派の背負篭(ショイゴ)と腰篭(ハケゴ)」
 こちらのハケゴはどうやらマタタビ細工のようです
大井沢の某名人作:ぶどう蔓のハケゴ(腰籠)
古い物としては、こちらの「ハケゴ」。ガマの葉をたたいたものと記載されている。

<福島県>
神野 善治、2015、民具の名称に関する基礎的研究-国際常民文化研究叢書9、神奈川大学 国際常民文化研究機構
・P417,P418に只見以西の数カ所の民具の名称リスト。背負い籠、腰籠など 
福島教育情報データベース、会津民俗館 製蝋用具 (3/91)
・漆作業での運搬用に使った、ハケゴ、カマス
*ここでのハケゴは、秋田の「かっこべ」と似ている。
佐々木長生、会津・只見の民具
・P49,P52にハケゴ、ショイカゴ、編み袋等の画像。
佐々木長生、2015、福島県における民具名称の諸相―会津只見の民具を中心に―、国際常民文化研究叢書 9、(P54-74) (上と同一のpdfファイルになっている)
・背負い運搬具には、縄や樹皮等で袋型に作ったものが、県内に広く見られる。地域によって名称も違ってくる。会津地方ではヤマブドウやシナ皮など樹皮やがば (蒲) やヒロロ麻等の草類など材質も様々である。会津地方ではスカリと呼び、縄を網状に編んだもので、大型のものがある。藁やヤマブドウなどで網代編など、隙間なく編んだもので、小型のものをコシコ(腰籠)と呼ぶ。両者ともに背負い縄が付けられている。・・・会津地方でスカリとコシコと区別して呼んでいるが、只見町では、両者ともショイカゴ(背負い籠) と呼んでいる。また只見ではショイカゴと呼ぶものに、麻糸で袋状に編んだものがある。山仕事に行くとき、弁当や道具を入れたり、山菜等の収穫物や猟の獲物も入れる。麻糸をなって作ったアミブクロ(編袋)は肩から胸にかけて紐で結び掛け、弁当や食料を入れたりする。(P73)

*ヒロロ(カンスゲ)については
菅家博昭、2008、ヒロロ(深山寒菅)のいま 会津学4号掲載予稿

<埼玉県>
秩父地方には、カンスゲを用いた背負い編み袋がある。口が絞られる作りのよう。
「スカリの作り方」

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