どぶろくの研究?(2/22)

 そういえば、先日の雪中田植えの時の昔語りは「正月のどぶろく」だった。どぶろくは、かっては自宅で作る当たり前の飲み物であり、国税庁による検査もある意味、トムとジェリーの追っかけっこみたいな、まあ当たり前の、笑い話のような世界だったのではないだろうか。(例えば、召集令状/赤紙の話には、そんな話は存在しないように思う・・・それは単にシリアスで暗い話だったんだろう。今のウクライナでもロシアでもきっとそうであるように)

 さて、あらためてどぶろくについて、調べてみると、麹菌がデンプンを糖に変え、酵母が糖をアルコールに変えるというプロセスとなる。(ワインであれば、果実に含まれる糖分を、酵母が分解するということなのだろう。)
 で、この酵母のところで、どぶろく造りにも、現代ではパン用に売られている、ドライイーストが登場する。でも、そんなのが秋田県で売られ始めたのは、最近のことだろう。どう考えても、ドライイーストが売られ始める前は、どぶろくはありませんでした、という歴史にはならないだろう。

 じゃあ、なんだったんだ?
 その歴史に連なる話として、今日聞いたのは、野生のホップ「唐花草(からはなそう)」を使ったどぶろくの話。ドライイーストとかを使う前は、この「唐花草」から取った汁でどぶろくを醸していたという。
「唐花草」の花を取って、乾燥させて、煮詰めて、濾して汁にして、何日か寝かせるのだという。
 思わず「へぇー!」と驚きの話。ビールに使うホップって苦みや香りをつけるためにあると思っていたので、これがどぶろくの発酵に使われるなんて 想像したこともなかった。
 まあ、野生の植物・果実などから天然酵母を育てていくことについては、以前、干しぶどうから培養した天然酵母でパンを焼いていたりしたこともあるので、天然酵母なんだなと理解したのですが・・・そこで「煮詰める」と聞いて、更にびっくり。どういうことなのだろうか?熱を加えて、酵母は死なないのか?

 そういうことで、帰宅して、いつものインターネットでの調べ物。調べてみると、どうやら東北で行われていたらしいことがいくつか出てくる。 
 1979年(昭和54年)8月号76頁 原題「伝統の秘法 うまいドブロクと焼酎の極意」
https://www.ruralnet.or.jp/gn-tokubetsu/toku5.htm
 この記事では、秋田の方のやり方として、
「花モトは、山に生えている野生のホップを利用します。秋のキノコがとれるころにホップを摘んできて、カサカサに乾燥させておいて、必要に応じて使うわけです。まず、湯呑み茶碗1杯におし込んだ分量のホップを、5合の水でよく煮ます。これを人肌に冷ましたら、蒸した米とコウジをそれぞれ湯呑み茶碗1杯ずつ加え、全部で1升になるように水を足す。これを3~4日保温(25度以上)すれば、花モトが1升分でき上がります。」と記されている

 また、原本にあたったわけではないのですが、世界酒に向けた技術的道筋というサイトによると、 『諸国ドブロク宝典(1989年、農山漁村文化協会出版)』という本の中に、岩手の事例として紹介されているとのこと。野生ホップを利用したどぶろくづくりが紹介されている。

 その他にも、福島で「東北地方に伝わる幻のどぶろく製法 “花酛” を再現したお酒”はなうたドロップス”」などという商品も売られているらしい。

 「花もと(酛)」という言葉が当てられているので、「生酛(きもと)」と関係があるのだろうと、また少し調べてみると、生酛づくりは、乳酸菌を利用して、雑菌を排除しつつ酵母を培養していくプロセスとなるらしい。そこで、また勝手な想像をするに、そもそも抗菌作用のあるホップを煮詰めて、乳酸菌のみが繁殖しやすいような環境をつくり、そこに何かしらの酵母が、(どこで投入されるのか、紛れ込むのかわからないが)増殖するみたいな話なのだろうかと・・

 ちなみに「酵母類は50~55℃ 、乳酸菌は76.5℃ で死滅します。」(「漬物の保存性向上に向けた微生物制御について」)とあるので、この「花もと」の正体はなんなんだろうな。これは今日聞いた話を含め、少し整理して、実験する価値がありそうだ。

 

昔語りのところからで、組み込んだ動画

昔語りのところから

話は飛ぶが、WIKIによると、『1989年12月14日に「製造理由の如何を問わず、自家生産の禁止は、税収確保の見地より行政の裁量内にある」として、酒税法の合憲判断と前田の有罪判決が出た。』とある。税収確保のために、(酒類の)自家用の生産まで禁止する一方で、なぜ多数の自治体の税収確保を阻害しているふるさと納税が、許容されるのだろう?税収確保の見地から、特定の措置が行政の裁量内にあるとするならば、ふるさと納税は、特定の納税者が受ける特権的給付のために、税収確保のための行政の権限を阻害しているってことではないのだろうか?

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