ふるさと納税と海

近頃、ふるさと納税の問題が指摘されることも増えてきたように思う。お金が都会ではなく、地方に回って、経済を活性化させることは重要であろう。地方にはまだまだ魅力的な商品が山ほどある。しかし「ふるさと納税」という仕組みには疑問がある。

税金は、それが様々な行政サービスを行うために必要であるとして、税率を定められ、税金を支払わなくてはならない義務を負っているものであろう。もしそれが不要なものであるならば、そもそも税額を下げるべきではないのか?
また想定される税収に基づいて予算を定めている地方自治体の議会の権限を侵害しているものではないのか?

第一、現状のような、お礼付きふるさと納税がはびこったら、皆が自分の自治体よりも、お礼のたくさんもらえるふるさと納税に逃げてしまうのではないだろうか?どう考えてもまじめに税金を支払うよりもお得なわけだから。
こうして、税金が公正に分配されるよりも、不公平に分配されることになる。お礼の品など弾んでいられない収支の厳しい自治体や、お礼など出さない「まじめな」自治体から資金が流出してしまう一方で、必要以上に税収が増加する地方も出てくる可能性がある。

受け取る側ではどうなのだろう?
とりあえずふるさと納税ブームで、税収が増え、地域の経済も活性化し・・・
しかし、ふるさと納税の対応で、職員を急遽増員し、余裕があるからさらに増員し・・・もしかするとこの制度が終わってしまうと、地方自治体に「ふるさと納税バブル世代」がお荷物として残るかもしれない。

地方経済にはどのような影響が?
一つには制度の持続性の問題。ふるさと納税がブームの間は、地場産業なりに需要があり、設備投資を積極的に進めるかもしれない。それがパタッと止まったときに困らないように、海外に輸出できるような、認証の取得なり、設備の改善なりを積極的に進めておく必要があるのだろう。(まあそんな余裕があるのかどうかわからないが)

もう一つの問題は、この制度では地方自治体に資金があって、そこが発注者となっていること。資金が市場メカニズムではなく、政治的な決定のもとで配分され、そこでは恣意的な選考の機会が限りなく大きいということであろう。
まず、お礼の品に何を定めるのか?どこの業者に発注するのか?これはいったい誰が、どのような手法で決定しているのであろうか?適切な入札プロセスなどがあるのだろうか?地域色のあるお礼の品などを探せば、特定業者の商品などになる可能性は高く、公金が特定業者に、適切な手続きを経ないままに流れているケースなどは多くないのだろうか?
そう、そこには癒着と賄賂の海が広がっているのではないだろうか?

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