クリームチーズの謎

ライ麦パンにはクリームチーズが欠かせない、と思っているのだけど、近頃値上がりが著しいのが「クリームチーズ」。それで、あちこち物色しているうちに、ふと気付いたクリームチーズの違い。どうしてこれまで気付かなかったのだろうか。
「クリームチーズ」と思って買っているものには少なくとも3種類が含まれていた!
・ナチュラルチーズ
・プロセスチーズ
・乳等を主要原料とする食品

 ということで、この不思議を解明していきたいと思ったのだが、調べていくと、いろいろ堂々巡りが始まってしまうことがわかったので、まずは簡単に整理してみたい。

・ナチュラルチーズは「乳酸菌や凝乳酵素(ぎょうにゅうこうそ:レンネットなど)などで、乳成分の「たんぱく質」を凝固させて、そこからホエイ(乳清)の一部を取り除き、成型したもの、及びそれらを細菌やカビなどの微生物で熟成させたもの」。そして、ナチュラルチーズの中のクリームチーズは熟成を経ていない、フレッシュチーズに含まれるチーズだと言えるのかと思います。
・もう一方のプロセスチーズは、一つもしくは複数のナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化、成型したものとなるようです。この場合は、フレッシュチーズではない、クリームチーズということになるかと思います。
・「乳等を主要原料とする食品」は、乳等に加えて、乳化剤や安定剤を加えたものとなるようです。
・チーズフードとは、乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品であって、一種以上のナチュラルチーズ又はプロセスチーズを粉砕し、混合し、加熱溶融し、乳化してつくられるもので、製品中のチーズ分の重量が51%以上のもの

 この際なので、確認できる範囲内で、国内で販売されている「クリームチーズ」の一覧を作ってみたいと思います。
結果
ナチュラルチーズ     19商品
プロセスチーズ       8商品
乳等を主原料とする食品   3商品
チーズフード        3商品
未確認           2商品

2023年12月にインターネットを中心に調べる。成分は100gで掲載されていないものはこちらで換算。メーカー名がはっきりしない製品は、販売者名などを掲載                

「乳等を主原料とする食品」や「チーズフード」の場合には、「クリームチーズ」を名乗っているわけではないので、○○スプレッドみたいな商品をもう少し幅広く取り上げていけば、類似した商品の数は増えるのだろうとは思います。

 <まとめ>
 ナチュラルチーズとプロセスチーズ以外は厳密には「チーズ」とは名乗れないので、商品名としても、「クリームチーズ」は使わず、クリーミースプレッドなどという名称を用いていますが、消費者である私は、スプレッド系も含めて、「クリームチーズ」として手に取っていたのではないかと思います。
 ということで、日本国内で流通する「クリームチーズ」は、先駆的な工業製品である「フィラデルフィア」に類似したような「クリームチーズっぽいもの全般」と言うことなのだろうと思います。
 
 ほとんどのナチュラルチーズが、それぞれ個別の名前を持つのに較べて、「クリームチーズ」って、スライスチーズみたいに「チーズ」の1ジャンルのような「フィラデルフィア代表並びにその他のクリームチーズ」みたいな世界なのだろう。

 それにしても、調べてみるとあれこれ不思議な世界で、キリやフィラデルフィアは商品によって種類別が異なっていたり、メグミルクのクリームチーズはナチュラルチーズとプロセスチーズの間を行き来しているという情報も見受けられました。またリュックスは原材料は生乳になっているものの、乳化剤を加えているので(多分そういう理由で)プロセスチーズだったり、成城石井オンラインショップは、ナチュラルチーズとなっている「アーラ ナチュラル クリームチーズ」をプロセスチーズのカテゴリーに入れていたり、まあ、しつこく調べていくと混乱しているところもあるんだなというのが判明。

 この次に、あらためて「本来のクリームチーズ」って何なのかを探ってみたいと思います。