米俵じゃなきゃだめですか その2

 米俵じゃなきゃだめだ!って言うのは、力を持った人たちであったのだろう。
自家消費の保存用なら叺でもいいだろうし、サイズだって細かいことは言わないだろう。しかし米俵は結構細かくチェックされていた。
 俵作りの中で、「米俵の出来で、中の米の品質まで見られていた」という話もあった。資料を探っていくと、俵の重量は云々いろいろ細かいんだ。

「年貢の輸送と俵装」という別府大学の資料によると、近世から諸藩は年貢輸送のための俵について、細かい規定を設けていた事が記されている。
(リンクを開くなという指示がブラウザーによっては出ます。大丈夫という根拠は私にはありません)


 これは戦後も同様で鳥取県公報(S23.7)でも俵はこのように作るようにと細かい指示が書き込まれている。

  その一方で、こんな話も出てきた。データベース『えひめの記憶』

明治六年の地租改正で貢租が物納から金納に変り、封建的桎梏から解放されると同時に稲作の肥培管理が粗放となり、品質を軽視した多収品種の増加、廉価な石灰肥料の多用、乾燥・調整・俵装の粗略化などにより、米質の低下が顕著となり、県は明治八年一一月に米穀製法告諭(資料編近代1 三四三頁)を布達し米作の粗放化を戒めている。
 この風潮は西南戦争後の一時的な好況による需要の増加、米価の高騰によって助長され、明治一五年以降は農家経済の窮乏でさらに促進された。明治一三年一二月に開催された県勧業課主催の第一回農談会で、米質の低下に関して、乾燥不足・無乾燥・量目増加のため俵を水に浸して俵装するなどの事例が紹介され、同一七年に開催の第四回農談会では「近年小作人が小作米麦の増量を図るがため其俵に水類を注浩するの悪風各地到る所 然らざるはなく(中略)奸商が船にて水を注ぐ者が多く、また上米に下米を混和する」実態が報告されている。

そんなおとなしく、こき使われているばかりではない・・・

 重要な産品であり、基本食料であり、税でもあった米の流通に関わる「俵」は細かく規定された梱包材料であった・・・が、農家が自家生産するもので(ある程度は)あり続けたのだろう

 そのような中で、俵は「新俵」を用いることが、当然のように強いられていたのであろうけれども、そんなに簡単な話ではなかったようだ。

 再びデータベース『えひめの記憶』を利用すると、

 「藩政時代にはこの選別・俵装が厳格に規制され、俵の原料藁は古藁を用い、俵は新俵を原則としていた。地租改正(明治六年条令布告)により貢租が金納となった明治九年以降は、調整作業が次第に粗略となり、貯えの乏しい貧農の中には、新藁で俵を作り、市価の安い古俵(空俵=古俵=は一俵二銭五厘、新俵は五銭)を使用する者が増加して、米質・俵質が低下し商品米の声価を落とすことになった。」
https://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/ecode:2/38/view/5182

 この記述では、断言はできないのだが、貧農は、新俵を作って売却し、古俵に入れた米を流通させていたということになるのだろうか。

 広報鳥取(昭和27年11月10日号)に、新俵と古俵の値段が記載されているが、それぞれに値段がついて流通していたことがあらためて確認できる。

 (それにしても鳥取県すごい!こんなのまでネットに収納されている)

  

 もう一つわかることは、消費地等に集まっていたであろう俵が再利用されていたということである。既に紹介している北海道の資料でも(その1を参照のこと)、下記のような記述があったが、古俵は米用だけではなく、他の用途にも利用されている、下の「叺」についても、新規に作られた叺なのか、米俵を解いたものなのかの検討は必要であろう。

・馬鈴薯用俵の包装として古俵が利用され、昭和三十年代では年間二五〇万枚程度で、内、約百二十方枚程度は各県より移入されていた。

・米麦用叺(かます): 昭和三十年代で年間四〇〇万枚程度使用され、主として三重県、富山県、福井県より移入されていた。雑穀用叺:昭和三十年代で年間四十五万枚程度が青森県より移入、菜種、あま種用としては四十万枚程度移入されていた。

 では、江戸時代、江戸や大坂に集まったであろう俵はどのように利用されたのであろうか?まともに費用として計上されることもなく、地域から流出し続けた有機物は、どのような運命を辿ったのか?

 古俵という形での流通が存在していたことはある程度見えてきたものの、経済的にも、歴史的にも俵って軽視されていたんだなというのが、ここまで調べてきた感想。誰も俵をコストとして考えもしなかったからこそ、長い年月使い続けられたのかもしれない。労賃も資材もただだった・・・(と見なされていた)

 だからこそ、こんな面倒で大変な包装材料が何百年も使い続けられたということなのだろう。

 

 

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