講演会に行ってきました「食と暮らし-過去:現在:未来」

結城登美雄氏による「食と暮らし-過去:現在:未来」と題する講演会が、新庄市の山屋セミナーハウスで開催されました。地域おこし協力隊で鮭川にいた時は、自分のキャパシティも考え、あまり外にはでなかったのですが、少しずつ鮭川村外の動きともつながっていかなくてはいけないなと思うのでした。まあ、今度は時間より経済的な問題が発生してくるのですが・・・

結城氏の話は、かっての雪調(積雪地方農村経済調査所)の調査の幅広さについて触れることから始まり、戸沢村の下松沢と最上町の大堀の調査報告書から見る最上地域の食文化、そして食の大切さ、農業の大切さと非常に興味深いものでした。
雪調の調査は「ガマガエルの皮のなめし方」から「兎肉の乾燥方法」、そして「農村副業資源に関する研究」などあれこれ興味深いものがあります。以前、鮭川村の家屋調査報告書について調べたときから雪調には関心を持ってはいたのですが、なかなか自分で調べるところまでには至らなかったのですが、今年は少しいろいろ調べてみようかと思います。

さて、戸沢村と最上町の調査では、過去の写真の撮影地点からの現在の写真などを見せてくれた後に、多様な副業の姿やリスクを下げるための様々な食物の利用、そして「餅文化の重要性」などについて語ってくれました。戸沢村では昭和15年当時、年に30回以上餅を搗いていたと言います。そして季節ごとの餅の味。資料にはあられにした時にふくらむように生豆を混ぜて搗く餅(「ふくれこ」)についての言及もありました。

鮭川でも、何かというと「餅だ」という話は聞いてきたものの、どうも十分に注目していなかったなと反省。今年はもう少し餅にも注目してみたいと思います。

餅に続いて、結城氏が紹介してくれたのは濁酒(どぶろく)についての報告書の記述。「農村に入って濁酒を手に入れるにはこの地方の方言を完全にマスターすることが、農家に顔なじみを得ることと同様に必要なことであり、又洋服を着ていっては先ず手に入らない」、「この地方の農家の仕事着を着て居るものであり、方言を自由に使いこなし、標準語の一口すら口にしなければ、顔見知りでなくても農家も安心して、濁酒を出してくると言うことを笑ってはいられない」。 結城氏は今時の役所の報告書もこれぐらいユーモアがあればという話しでしたが、雪調の研究員は、フィールドワーカーとしてだいぶ修行を積んでいたんだろうなと思わせる報告です。

過去の食の話しから、現代は食が危機的状況にあること、大規模化なんて言っていますけど、農政の施策ではなく、年金をつぎ込んで続けている高齢者の農家によって食がかろうじて支えられていること。人の食べ物を作ってくれている人に敬意を持って向き合っていくことの大切さについて訴えるとともに、本当に子どもたち、孫たちの食を支えていくことができるのか、真剣に考えなくてはいけない時代にあると改めて警鐘を鳴らすのでした。最上から、現場からどうしていくのかを打ち出していかなければならないと。

食に対する危機感を本当に自分自身のものとして感じます。いまこうして村に住んでいる理由の一つにも、食をどうするのだろうという問題意識があります。鮭川で高齢の方々から様々なことを教えて頂き、山・里・川の自然の恵みの利用について学びつつある中で、本当に最上地域というのは、大地にどっしりと根を張って、生きていく力を持っているところではないかと思っています。結城氏の言う「自然に向かい合う力、食べ物を生み出す力=自給力」を守り、育んでいくことが重要なのでしょう。

話の中で出てきた、人が集う囲炉裏のある家で、どんなことができるかじっくり考えていきたいと思いながら帰路についたのでした。・・・まずは川かな、既にあれこれ話もあるし。

さて、今日は、じんぎりの頭鍋を作ってみました。頂いてきた「じんぎり」の頭をそのまま煮立ってきた鍋に入れ、野菜を入れるだけ。頭だけでちょうどうまみと塩分が出ておいしく食べられます。だまされている感じでしょ?
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